カーボンニュートラルを
実現する
水素エネルギーの研究
Research on hydrogen energy to achieve carbon neutrality
河野教授が令和7年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞しました。
— 東京大学 河野研究室 (@Kono_Lab) April 18, 2025
東大先端研ニュースで受賞コメントや授賞式の様子がご覧いただけます。https://t.co/8LgRBkDw9s
河野 龍興 教授
Professor Kono Tatsuoki
2050年カーボンニュートラルを実現にむけて、再生可能エネルギーの導入が急速に進んでいて、2040年には再エネ導入比率を40-50%にする目標が日本で設定されています。
しかし再エネから発電される電力は変動が大きいため、系統へ接続する際には安定化のための調整力が必要となります。
また再エネの発電量が急激に多くなると出力制御せざるを得ない状況になり、未利用のCOフリー電力が大量に捨てられてしまいます。
そこで再エネの調整力・未利用電力の活用方法として、またコスト面・CO2削減の観点からも水素エネルギーが期待されており、そのためには水素を製造・貯蔵・利用する「P2G(Power to Gas)」を高効率化することが必要となっています。
本研究室では「再生可能エネルギーを利用した蓄電・水素エネルギーシステム」構築をターゲットとし、水素の製造(水電解装置)・貯蔵(水素吸蔵合金)・利用(燃料電池)における各材料及び装置開発を行っています。
また、再エネ・蓄電池とこれらの装置を接続して、統合的な監視・予測・制御を可能とする蓄電・水素エネルギーシステムの研究開発を推進しています。
2050年にカーボンニュートラル社会を実現するためには再生可能エネルギーの大量導入が不可欠ですが、系統の安定化や再エネの未利用電力の問題が生じてきます。
その解決方法の切り札として、またエネルギーセキュリティの観点からも、水素エネルギーの早期実用化が求められています。
当研究室では再生可能エネルギーを利用して水素を製造し、それを貯蔵して利用する水素エネルギーシステムの研究開発を行っています。
また将来のカーボンニュートラルに向けた地域分散型エネルギーシステムを構築するため、再エネ+水素エネルギー+蓄電池を利用したエネルギーシステムに着目してAI予測技術も活用した統合型エネルギーマネジメントシステムの開発を行っています。
水素を安全で長時間安定に貯蔵・輸送する方法としては水素吸蔵合金があります。
水素吸蔵合金は水素を吸蔵・放出できる材料で液体水素よりも高密度で安全に水素を貯めることができ、定置用のタンクとして利用されています。
またこの水素吸蔵合金を利用したニッケル水素電池は安全でエネルギー密度も高いことからハイブリッド自動車等に搭載されています。
現時点で最高性能を引き出す負極材料はこれまで開発してきたLa-Mg-Ni系超格子合金ですが、更なる高性能化に向けた3元系水素吸蔵合金の研究及び新型の水素蓄電池の開発を進めています。